2012年04月23日 21:33
2012年03月20日 17:16
和歌山県橋本市 登録有形文化財の曳家視察報告 その2

曳家写真4 室内全景
今回は築300年の古民家で、補修をする為に外壁や内壁を撤去しましたが
歪みや腐食が比較的少ない場合、伝統工法の建物(柱が束石の上に建っている場合)の床を撤去し鉄骨の貫が入る状況にするだけで、壁は撤去しないでそのまま移動できます。
その場合の補修は床だけになり、工期も予算も、もっと少なくて済みます。
そして、最近の在来工法の場合、土台ごとジャッキアップする為、家財道具をどかす必要もなく曳家することができます。

曳家写真5 左が母屋で右側が診療所
この母屋の隣に建っている診療所(築100年)も曳家されています。
この診療所は土台が入っていましたので、土台から上はそのままで移動してきました。
診療所は1.5m程、高床にする為、安全を考慮し低い位置で移動し、その場所に来てからさらにジャッキアップされていました。
曳家で注意する点は、建築基準法上取扱いです。
曳家の場合、確認申請が必要になります。また、曳家は「移転」扱いを適用できるため、既存不適格建物(以前は適合していたが現行法に対しては不適格な建物)のままで良い事になっています。(ただし、耐震補強等を施す事をお勧めします。)
「移転」扱いを受けるには同一敷地内での移転という条件が付きます。
別敷地になると「改築」扱いとなり、現行法に適合する必要が発生し、実際には現行法のような金物で固定する方法の改修困難になるようです。
ですので、伝統工法建物の曳家を行う場合、同一敷地内での移転であることが必要です。
(移築、改築された古い建物がどのような経緯で建築されているのかは今後、調べてみます。)
参照資料
http://tochi.mlit.go.jp/wp-content/uploads/2011/02/h21_tatemono_honpen.pdf
35ページ、36ページ
今回の視察で、曳家は経済的にも工期(期間)的にも合理的で優れた方法だとわかりました。
そして、この方法を使えば、現在お住まいの古民家もジャッキアップで基礎をコンクリートにすることや、腐食部分の補修、耐震補強などが思っているより簡単に出来る可能性もわかりました。
古民家を直して暮らすには少し制約を受けますが、曳家を行う金額で、その建物以上の物を造るのは難しいと思います。
思う通りの家にすることが良いか、補修や補強をすることで、100年住んできた家を、これから100年200年と永く住む事が良いかは住まい手さん次第です。
しかし、今から築100年の家に住みたいと思っても、今から建てていては、人の寿命がもちません。
永い間使われてきたお家でしたら、これからも末永く使ってあげれたらと思います。
ただし、そうなると、僕たちの仕事は無くなるのですが。。。

曳家写真4 室内全景
今回は築300年の古民家で、補修をする為に外壁や内壁を撤去しましたが
歪みや腐食が比較的少ない場合、伝統工法の建物(柱が束石の上に建っている場合)の床を撤去し鉄骨の貫が入る状況にするだけで、壁は撤去しないでそのまま移動できます。
その場合の補修は床だけになり、工期も予算も、もっと少なくて済みます。
そして、最近の在来工法の場合、土台ごとジャッキアップする為、家財道具をどかす必要もなく曳家することができます。

曳家写真5 左が母屋で右側が診療所
この母屋の隣に建っている診療所(築100年)も曳家されています。
この診療所は土台が入っていましたので、土台から上はそのままで移動してきました。
診療所は1.5m程、高床にする為、安全を考慮し低い位置で移動し、その場所に来てからさらにジャッキアップされていました。
曳家で注意する点は、建築基準法上取扱いです。
曳家の場合、確認申請が必要になります。また、曳家は「移転」扱いを適用できるため、既存不適格建物(以前は適合していたが現行法に対しては不適格な建物)のままで良い事になっています。(ただし、耐震補強等を施す事をお勧めします。)
「移転」扱いを受けるには同一敷地内での移転という条件が付きます。
別敷地になると「改築」扱いとなり、現行法に適合する必要が発生し、実際には現行法のような金物で固定する方法の改修困難になるようです。
ですので、伝統工法建物の曳家を行う場合、同一敷地内での移転であることが必要です。
(移築、改築された古い建物がどのような経緯で建築されているのかは今後、調べてみます。)
参照資料
http://tochi.mlit.go.jp/wp-content/uploads/2011/02/h21_tatemono_honpen.pdf
35ページ、36ページ
今回の視察で、曳家は経済的にも工期(期間)的にも合理的で優れた方法だとわかりました。
そして、この方法を使えば、現在お住まいの古民家もジャッキアップで基礎をコンクリートにすることや、腐食部分の補修、耐震補強などが思っているより簡単に出来る可能性もわかりました。
古民家を直して暮らすには少し制約を受けますが、曳家を行う金額で、その建物以上の物を造るのは難しいと思います。
思う通りの家にすることが良いか、補修や補強をすることで、100年住んできた家を、これから100年200年と永く住む事が良いかは住まい手さん次第です。
しかし、今から築100年の家に住みたいと思っても、今から建てていては、人の寿命がもちません。
永い間使われてきたお家でしたら、これからも末永く使ってあげれたらと思います。
ただし、そうなると、僕たちの仕事は無くなるのですが。。。
2012年03月14日 12:36
計画中の木造2階建て住宅の深基礎検討を構造事務所さんへ相談に
敷地と道路にに高低差がある場合、『よう壁』というコンクリートや石垣などの構造物で土を止めて、地盤の高さを調整します。
今回の場合、約2mの高低差があり、建物の基礎とよう壁とを一体に作る事にしました。
そうすることで、工事費用が安くなることが期待されます。
斜面地は土地の価格が安い半面、基礎工事が一般地よりも多くかかる傾向にあるため、建物のプランを検討する上で合理的な基礎となるかの検討が必要になります。
そして、シビアな設計をするために構造事務所さんにお願いしました。
打合せでは、こちらで考えた構造のイメージを伝え、構造事務所さんから、「この部分をこうすれば、コンクリートが少なくて済む」や「この部分は高さを揃えると配筋しやすいので揃えては」などのアドバイスを頂き、摺り合せ調整をして大まかな計画が完成しました。
平行して、概算工事費用も見積り中で、うまく予算に納まる事を願います。
今回は、はね出した階段も造る予定でいい感じのファサードになると思います。
敷地と道路にに高低差がある場合、『よう壁』というコンクリートや石垣などの構造物で土を止めて、地盤の高さを調整します。
今回の場合、約2mの高低差があり、建物の基礎とよう壁とを一体に作る事にしました。
そうすることで、工事費用が安くなることが期待されます。
斜面地は土地の価格が安い半面、基礎工事が一般地よりも多くかかる傾向にあるため、建物のプランを検討する上で合理的な基礎となるかの検討が必要になります。
そして、シビアな設計をするために構造事務所さんにお願いしました。
打合せでは、こちらで考えた構造のイメージを伝え、構造事務所さんから、「この部分をこうすれば、コンクリートが少なくて済む」や「この部分は高さを揃えると配筋しやすいので揃えては」などのアドバイスを頂き、摺り合せ調整をして大まかな計画が完成しました。
平行して、概算工事費用も見積り中で、うまく予算に納まる事を願います。
今回は、はね出した階段も造る予定でいい感じのファサードになると思います。
2012年03月13日 16:09
和歌山県橋本市 登録有形文化財の曳家視察報告 その1
何回かにわたり、2月18日に視察に行きました木造築300年の住宅と、木造築100年の診療所の曳家について書いていきます。
曳家とは、現在建ててある建物を壊すことなく移動させる行為の事です。
有名な所では、旧JR奈良駅駅舎も建物を壊すことなく移動させています。
道路工事による立退きや、日当たり改善など、色々な事情で建物を移動させる一つの方法です。
今回は橋本市の土地区画整理で道路の設置に伴い、旧家を移動させる計画でした。
木造母屋は築300年と和歌山県でも最も古い木造民家だそうです。

曳家写真1 左が母屋で右が診療所です。
その建物を現状より、約15m移動させ1.5m程高く上げる計画で、当日は曳く様子を見学できました。
現場は12月中旬から工事が始まっており現在約2ヶ月の状況で、曳家のほとんどは終わっている状況です。
今回の曳家の工程は
1、建物の歪みや腐食を直すため、外壁をほとんど落とし歪み、腐食柱の取替補修。
1と並行して今回設置部分にコンクリート基礎を施工する。
コンクリート基礎は、現況の建物を実測した数値を使用する。
2、ジャッキで支える為、鉄骨の貫をワイヤーで固定しジャッキで上げる。
3、移動するためのレールをつくりその上に鉄パイプのコロを敷き、建物を載せる。

曳家写真2 鉄骨の貫をワイヤーで固定している部分
4、ジャッキで移動。
5、コンクリート基礎に加工した既存の束石を固定。

曳家写真3 元々つかっていた束石を一個一個場所をチェックし加工して再利用。
6、建物を既存束石に下ろす。
7、建物の壁等々を補修する。
大まかにはこういう具合です。
視察の段階は4の段階で、ここまでかかった期間は約2ヶ月。
工程的には、補修、棟上げ、屋根葺き終わりまでが2ヶ月で出来る計算ですので
期間としては、新築とほぼ同じと考えられ効率的でした。
予算も、このブログでは公表出来ませんが、補修込みでもとても安くなっていました。
一般的には、新築の1/3の金額で出来る(仕上共)との事です。
つづく
何回かにわたり、2月18日に視察に行きました木造築300年の住宅と、木造築100年の診療所の曳家について書いていきます。
曳家とは、現在建ててある建物を壊すことなく移動させる行為の事です。
有名な所では、旧JR奈良駅駅舎も建物を壊すことなく移動させています。
道路工事による立退きや、日当たり改善など、色々な事情で建物を移動させる一つの方法です。
今回は橋本市の土地区画整理で道路の設置に伴い、旧家を移動させる計画でした。
木造母屋は築300年と和歌山県でも最も古い木造民家だそうです。

曳家写真1 左が母屋で右が診療所です。
その建物を現状より、約15m移動させ1.5m程高く上げる計画で、当日は曳く様子を見学できました。
現場は12月中旬から工事が始まっており現在約2ヶ月の状況で、曳家のほとんどは終わっている状況です。
今回の曳家の工程は
1、建物の歪みや腐食を直すため、外壁をほとんど落とし歪み、腐食柱の取替補修。
1と並行して今回設置部分にコンクリート基礎を施工する。
コンクリート基礎は、現況の建物を実測した数値を使用する。
2、ジャッキで支える為、鉄骨の貫をワイヤーで固定しジャッキで上げる。
3、移動するためのレールをつくりその上に鉄パイプのコロを敷き、建物を載せる。

曳家写真2 鉄骨の貫をワイヤーで固定している部分
4、ジャッキで移動。
5、コンクリート基礎に加工した既存の束石を固定。

曳家写真3 元々つかっていた束石を一個一個場所をチェックし加工して再利用。
6、建物を既存束石に下ろす。
7、建物の壁等々を補修する。
大まかにはこういう具合です。
視察の段階は4の段階で、ここまでかかった期間は約2ヶ月。
工程的には、補修、棟上げ、屋根葺き終わりまでが2ヶ月で出来る計算ですので
期間としては、新築とほぼ同じと考えられ効率的でした。
予算も、このブログでは公表出来ませんが、補修込みでもとても安くなっていました。
一般的には、新築の1/3の金額で出来る(仕上共)との事です。
つづく
2012年03月05日 14:44
3月4日奈良女子大学同窓会館「佐保会館」でシンポジウムがありました。

岩崎平太郎氏は明治26年生まれで大正、昭和に奈良を中心に活躍された建築家です。
彼の建築は建築家、武田五一の下、明治以降、西洋の建築様式が入って来た頃に、そういったものも取り入れながらも和風建築を発展させてきました。
天理教敷島大教会や県立畝傍高校等、奈良県内にも多くの建築が残っています。
また、逆に多くの優れた建築が取り壊されている事も知りました。
和風というものをもう一度考えてみるいい機会になりました。
今回のシンポジウムで岩崎氏が好んで使われていたデザインの一つに、いのめ(猪目)というのがありました。

http://www.tokka.biz/fittings/TS463.html 参照HP
このハート型の部分が『猪目』と言われイノシシの目を模したものらしく奈良時代にすでにあったとのことです。
以前、見学した大和郡山の旧遊郭、川本邸の壁にも同じ模様があり、その時は『ハート』型だと思い、遊郭だっただけに洒落が効いてると思っていましたが、本当はこの『猪目』模様だったのかもしれません。

因みに、奈良ホテルは辰野金吾氏、片岡安氏の設計ですがそこでは蝶をモチーフにした
インテリアが使われていました。

岩崎平太郎氏は明治26年生まれで大正、昭和に奈良を中心に活躍された建築家です。
彼の建築は建築家、武田五一の下、明治以降、西洋の建築様式が入って来た頃に、そういったものも取り入れながらも和風建築を発展させてきました。
天理教敷島大教会や県立畝傍高校等、奈良県内にも多くの建築が残っています。
また、逆に多くの優れた建築が取り壊されている事も知りました。
和風というものをもう一度考えてみるいい機会になりました。
今回のシンポジウムで岩崎氏が好んで使われていたデザインの一つに、いのめ(猪目)というのがありました。

http://www.tokka.biz/fittings/TS463.html 参照HP
このハート型の部分が『猪目』と言われイノシシの目を模したものらしく奈良時代にすでにあったとのことです。
以前、見学した大和郡山の旧遊郭、川本邸の壁にも同じ模様があり、その時は『ハート』型だと思い、遊郭だっただけに洒落が効いてると思っていましたが、本当はこの『猪目』模様だったのかもしれません。

因みに、奈良ホテルは辰野金吾氏、片岡安氏の設計ですがそこでは蝶をモチーフにした
インテリアが使われていました。








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